パソコンとネットの普及によって、多くの情報を簡単にコピー・移動させることができるようになりました。しかし、これに伴って大量の個人情報が不正流出する事件が多発しています。例えば、2004年2月に起きたYahoo! BB個人情報漏洩事件ではYahoo! BB登録者約450万人分の個人情報が漏洩し、恐喝事件にまで発展しました。マスコミは個人情報を悪用される危険性を盛んに報道し、消費者は個人情報保護に対する意識が高まりました。

このような時勢を受けて成立したのが個人情報保護法です。「しっかりと個人情報を管理して商売しなさい」というのが個人情報保護法の趣旨になります。

これから個人情報保護法の説明に入るわけですが、最初に「個人情報」とは何かをはっきりさせる必要があります。個人情報保護法で は個人情報とは「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」と定 義されます。そして個人情報保護法の規制を受ける対象は個人情報取扱事業者、すなわち個人情報データベースを用いて5000人を超える個人情報を取り扱う 事業者に限定されます。

そして、ここでいう個人情報データベースとは「個人情報を含む情報の集合物」と定義されます。例えば、パソコンなどで検索をかけ ると容易に目的の個人情報を探し出すことができれば、それは個人情報データベースです。印刷物であれば、例えば電話帳のように目次や索引が付いていて体系 的に整理したものであれば個人情報データベースと言えます。もっと言うと、あいうえお順に分類して保管している名刺も個人情報データベースに該当します。

個人情報保護法では、個人情報の利用目的を明らかにし、本人に通知または公表する義務があります。そして、一度定めた利用目的に ついては、勝手に変更することやその目的を超えて利用することを禁じています。また、個人情報を第三者に提供するときは本人の同意を得ることが必要です。 しかし、前もって個人情報を第三者に提供することを通知または公表し、本人の求めに応じて個人データの提供を停止できるのであれば、本人の同意は必要ない とされています。web画面で個人情報を入力するときは、通常送信ボタンを押す前に個人情報の利用目的と第三者に個人情報を提供するのであればその旨を本 人の目に止まるところに記載しているはずです。このことをクレジットカード業界に当てはめると、カード会社ではカード申し込み時に申込者が記入した個人情 報は審査のためだけに用いること、並びに収集した個人情報は個人信用情報機関に登録することをカード会社のネット申し込み画面や送付される申込書の中に明 記してあります。申込者は個人信用情報機関に個人情報を提供することを拒むことはできますが、拒むとクレジットカードの申し込みは却下されます。

個人情報保護法では、本人から個人データの開示を求められたときは開示し、誤りがあれば訂正しなければならないとされています。 クレジットカード業界に関して言えば、初めてクレジットカードを申し込んだとき、これといって問題がないのにもかかわらず、ことごとく断られることがあり ます。このような場合は延滞している同姓同名の別人と間違われている可能性があるので個人信用情報機関に信用情報を開示し、間違いがあれば訂正することが できます。間違った情報に基づいてクレジットカードの申し込みが却下されたのであれば、審査のやり直しを求めることもできます。

個人情報取扱事業者が個人情報保護法に違反した場合は、まず主務大臣より違反行為をやめるように勧告、従わない場合に命令が行き ます。命令に従わない場合、六ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されます。「違反→勧告→命令」という過程を経て罰則が課されるため、実際はほ とんど罰則が適用されることはないと考えられます。しかしながらカード会社のような大企業であれば、個人情報が漏れたとなるとマスコミがこぞって報道する ことになるので社会的制裁を受けることになります。

さらに深刻なことに個人情報が漏れた場合、損額賠償を請求されることになります。個人情報保護法の施行後、京都府宇治市の住民基 本台帳データ約22万人分が流出した事件がありました。この事件で個人情報を漏らされた住民が、精神的苦痛を与えられたとして訴訟を起こし、宇治市に対し 住民1人当たり1万5000円の慰謝料の支払いを命じる判決が出ています。1万5000円という金額は個人情報が漏洩した場合の1人当たりの慰謝料の相場 となるわけで、もし5000人の個人情報が漏洩すれば、5000人×1万5000円=7500万円も事業者は支払うことになります。この金額は事業者に とって死活問題です。

カード会社は氏名や住所・生年月日はもちろん年収・家族構成・カードの利用状況など、よりプライベートな個人情報も取り扱っています。まさにカード会社は 個人情報そのもので成り立っていると言っても過言ではないので、ことさら個人情報の管理は厳重にするべきだと言えます。

【補足】
個人情報保護法と一緒に「プライバシーマーク(Pマーク)」という言葉を聞くことがあります。プライバシーマークとは、個人情報保護に関して一定の基準を 満たした事業者に対し、日本情報処理開発協会が認定する登録商標のことを言います。認定を受けた事業者は自分のホームページや配布物にプライバシーマーク を載せることができます。個人情報保護法が施行された後、消費者にアピールするためにプライバシーマークを取得する企業が増えてきました。プライバシー マークが付与された会社は絶対に個人情報を漏らさないとは言えませんが、個人情報に対する管理体制がある程度しっかりしている会社だという目安にはなりま す。

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